『りぼん』1964年(昭和39年)8月号[集英社発行]

・りぼんのワルツ
・王女ミナ子
・読切 ひまわりっ子
・ちびっこ天使
・おかあさん
・ペコ先生
・チャコちゃんの日記
牧美也子
わたなべまさこ
望月三起也
横山光輝
藤木輝美
上田としこ
今村洋子

別冊付録
りぼんカラーシリーズ⑯
芳谷圭児 談 安英子
終戦後も現地で18年間暮らした安英子さんの波乱の実話。最終ページの写真では再開した母子がにっこり微笑む。

次号予告・ゆめの7大付録!
当時、少年誌の組み立て付録の予告がイラスト主体であったのに対し、少女誌では試作した実物の写真が使用されていた。少女好みのバリエーション豊かなアイテムを視覚的に見せることで、購買意欲を刺激する工夫がなされていたのだ。付録には「第一、第二…」と序列が振られており、第一付録には最も注力された目玉アイテムが選ばれていた。次号の予告として掲載された第一付録は、「バラとお城の王女さま宝石箱」。

『りぼん』1964年(昭和39年)8月号[集英社発行]

■ 牧美也子・わたなべまさこが牽引した、美麗なカラー頁と情緒的ストーリー
本号の巻頭を飾るのは、長年にわたり『りぼん』の看板作家として誌面を支えた牧美也子、およびわたなべまさこ両氏の作品である。当時、多くの少女たちの心を捉えた叙情的なストーリー展開とともに、今なお色褪せない美麗なカラーページの表現技法は、昭和30年代の少女漫画における技法的・芸術的到達点を示している。

■ 少女漫画界における稀少な史料:望月三起也の読切「ひまわりっ子」
本号において歴史的・資料的に最も注目すべきは、後に『少年キング』の「秘密探偵JA」や「ワイルド7」で一世を風靡する劇画の巨匠・望月三起也氏による読切作品「ひまわりっ子」の掲載である。
望月氏が手掛けた少女漫画作品は極めて少なく、現在確認されているのは、本作と『別冊マーガレット』1964年秋のおたのしみ号に掲載された「死をよぶ山」のわずか二作品のみである。作家の初期のキャリアを紐解く上で、極めて希少な史料といえる。
■ 良質な児童文化の旗手「りぼんカラーシリーズ」と芳谷圭児の足跡
1963年(昭和38年)5月号の発表以来、読者へ質の高い物語を提供し続けた「りぼんカラーシリーズ」は、本号で16作目を数える。この号は芳谷圭児氏による実話漫画「お母さん生きていてよかった」が発表された。「愛と感動」を機軸としたテーマ性豊かな本作は、当時の児童漫画が担っていた教育的・情操的な役割を色濃く反映している。

りぼんのワルツ 作:牧美也子 4色4+2色4+4頁+別冊付録
マミがやがてくる秋のバレー公演のための、はげしいレッスンに毎日うちこんでいるころ・・・・・あけみは西陽のさしこむ狭い仕事場で、マミの初舞台をかざる花をつくっていました。

いままでのお話 南国の風かおるアッサム王国は平和の国、世界の楽園でした。このお話の主人公王女ミナ子は、国王ジン大公と日本人の王妃由紀とのあいだにうまれたのですが・・・不幸はある日、とつぜんおこりました。王女ミナ子が大盗賊アババにさらわれてしまったのです・・・なげきかなしむ由紀・・・しかし、月日はたって、アッサム王国の花祭りの日、由紀のまえにあらわれた少女ガーベラは、あまりにミナ子ににていたのです・・・ところが王宮では王冠がぬすまれだいこんらんが・・・⁉︎
王女ミナ子 作:わたなべまさこ 4色4+2色4+19頁

主人公は、当時の少女漫画には欠かせない設定である「貧しい境遇の少女」ユリ。彼女が裕福な家庭のひ弱な少年の家庭教師となり、持ち前の明るさと行動力で、少年の生き方にも大きな影響を与えていく。物語の終盤、ユリは自らの信念を貫き通したことで、少年の母親の信頼を失ったとして自ら去っていく。しかし、その結末には、青年社長へと成長した少年と秘書を務める百合の姿が描かれ、「漫画としての面白さ」を存分に感じ取らせてくれる、見事な結末である。
望月三起也・神奈川県に生まれる。社会人生活、アシスタントを経て60年、『少年クラブ』に「特ダネを追え」を発表しデビュー。竜の子プロ入社後、65年『少年キング』に「秘密探偵JA」を連載。69年より同誌に連載した「ワイルド7」は10年も続く長期連載となった。

作品について 1960年代前半まで、少女漫画の多くは「悲しい」と「怖い」のいずれかを軸に描かれていた。本作『ひまわりっ子』はどちらかと言えば前者に属するが、決してそこに止まることのない作品である。
りぼん読切劇場 ひまわりっ子 作:望月みきや(三起也) 21頁
まずしいけれど、ひまわりのようにあかるい少女の心は、気のよわい少年の心を太陽のようにてらしたのですが・・・

チルルとマルルは、苦しんでいる人を助けにやってきたかわいい天使です。あなたのそばに、いるかもしれませんよ! チルルのことば わたしは天帝さまのいいつけで、仲よしのマルルといっしょに、星の国からやってきた天使です。まだ子どもなので、天使の翼をもらっていませんが、人によろこばれるいいことをすれば、翼がもらえるというのではりきっています。もういくつかいいことをしたので、そろそろ翼をもらえるのじゃないかとおもうんだけど、だめかしら?
ちびっこ天使 最終回 作:横山光輝 16頁

チャコちゃんの日記 作:今村洋子 2色4+4頁+別冊
夢の島ってどんなでしょう?チャコちゃんたちはいさんで出発するのですが・・・

人気がいっぱいの「愛の漫画」、第3回目をみなさんに、おおくりします。悲しい話、美しい話がいっぱいです!はじめに・・・やさしい母子像のおかあさんの涙から生まれたピックとパックは母のいない子すずめチックをつれて、たくさんの母と子のいる世界へ愛をふりまくためとびたちました・・・
読切連載 おかあさん 作:藤木輝美 16頁

これまでのおはなし 東京うまれのペコ先生が、北海道のカシワ小学校に赴任してきてから、早いものでそろそろ一年。オートバイと朝ねぼうが大すきという、人気ナンバーワンの先生ですが、今アイヌ少年のよしお君のことであたまをナヤましています。というのは、よしお君は夏休みをまてず、はたらきにでなければならないのです。

ペコ先生 作:上田とし子 11頁
北海道の小学校につとめる人気者ペコ先生が、しびれるようなみりょくをみせて、今月も大活やくしていますよ‼︎

ひみつのアッコちゃん 作:赤塚不二夫 18頁
夏休みに、サトウ先生のいなかにいったアッコ、モコ、カン吉!おばけやしきがあるというので、ビックビク‼︎

【資料に関する注記および謝辞】
『りぼん』1964年(昭和39年)8月号 集英社発行
※本ページに掲載している画像および作品情報は、運営者が所蔵する当時の現物雑誌より引用・複写したものです。
※掲載作品の著作権は、各著作者および発行元である株式会社集英社に帰属します。

本誌には、牧美也子、今村洋子、わたなべまさこ、横山光輝、藤木輝美、望月三起也、上田としこ、藤子不二雄、吉谷圭児(※掲載順/敬称略)の、日本の漫画史に不滅の足跡を遺された巨匠たちの気鋭の作品が多数掲載されています。
戦後日本の児童文化・漫画文化の礎を築き、今なお色褪せない感動を私たちに与え続けてくださる偉大な漫画家の方々と、当時の熱量をそのままに素晴らしい雑誌を世に送り出された出版元に、深く敬意と感謝の意を表します。