



本号の巻頭を飾るカラー口絵とグラビアには、「めずらしい世界のハンカチ」「かわいい世界の王子さま」「あたらしい冬のおしゃれ」といった、当時の少女たちの憧れが詰まった華やかな企画が並んでいる。中でも注目したいのが「かわいい世界の王子さま」の特集である。ここでは各国のロイヤルファミリーに並び、日本の王子様として幼少期の浩宮さま(現在の今上天皇徳仁さま)が紹介されており、昭和30年代ならではの時代背景や世相が色濃く窺える貴重な資料となっている。

講談社発行の『少女フレンド』は、前年12月号で休刊となった同社の月刊誌『少女クラブ』の路線を引き継ぐ形で誕生した週刊誌である。
創刊初期の連載漫画は4作品で、その巻頭を飾ったのがちばてつやの「ユキの太陽」であった。ちばてつやは、『少女クラブ』連載の「1・2・3と4・5ロク」で第3回講談社児童まんが賞を受賞しており、本作でも引き続きメイン作家として誌面を大きく盛り上げている。
他の3作品には、赤松セツ子「みならい天使」、山田英史「草原のメダル」、中島利行「カナリヤ少女」が名を連ねた。いずれも同社の月刊誌『なかよし』でヒット作を手がけた人気漫画家たちの起用であるが、注目すべきはこれら3作品すべてに原作者がついている点である。これは、週単位でストーリーを展開しなければならない週刊連載の過酷なペースに対し、漫画家の負担を軽減・配慮するための策であったと考えられる。






ユキの太陽 ちばてつや 18頁
東京でむかえた、はじめての朝・・・。ユキにとって、どうもおもしろくないことばかりおきます。それは・・・。

みならい天使 まんが:赤松セツ子 原作:太田久行 16頁
わっとなきふす、みならい看護婦の麦子!はじめて、産科へおてつだいのいった麦子でしたが・・・。

草原のメダル まんが:山田英史 原作:新川和江 18頁
家でも学校でも、どこへいっても大ひょうばんの「草原のメダル」。やさしい王女さまとライオンの心うたれる物語です!

カナリヤ少女 まんが:中島利行 原作:藤木靖子 15頁
おとうさんの病気のことで、すっかりしおれているマリ子に、またまた、たいへんなことが・・・。


少女月刊誌の創世記(初期)における編集内容は読み物が中心であり、漫画作品のページ数は限られたものであった。昭和30年代に入ると漫画の割合が増え、読み物のページは徐々に減少していく。なお、のちに読み物を一切掲載しない「全ページ漫画化」の編集手法が定着するが、これは集英社発行の『少年ジャンプ』がもたらした変革が契機であった。
本号が発行された当時はまさにその過渡期にあたり、誌面には以下の3つの読み物作品が掲載されている。
「星ふたつ」(文:吉田とし / 絵:土井淳男)
「左ぎっちょの歌」(文:真樹日佐夫 / 絵:石原豪人)
「ミンクの手ざわり」(文:宮俊彦 / 絵:依光隆)
ここで「左ぎっちょの歌」を手がけた真樹日佐夫はのちに漫画原作者として、石原豪人は挿絵画家として、昭和の雑誌界・出版界に欠かせない重要作家へと大成していく。漫画の勢いが増す一方で、若き才能たちが彩った情緒豊かな読み物もまた、当時の誌面を強く支えていたことが窺える。




