りぼんカラーシリーズNo.33 奇跡の人 水野英子

東和映画の同名作をベースに、ヘレン・ケラーとサリヴァン先生の物語を描き下ろした本作。
B6判・総ページ数130ページという当時の『りぼんカラーシリーズ』の基本仕様は、当時の「貸本単行本一冊分」に匹敵する極めて贅沢なボリュームでした。この十分な紙幅を与えられたことで、水野英子はストーリー展開と作画表現の双方において、その卓越した技量を遺憾なく発揮しています。特筆すべきは、プロローグとクライマックスに効果的に配置された見開きページの演出です。単なる映画のトレースにとどまらず、少女漫画における絵柄の訴求力を極限まで高めつつ、独自の描画手法への挑戦が随所に見られます。初期少女漫画の表現をダイナミックに拡張した、歴史的にも極めて価値の高い名作です 。

水野英子のプロフィール
1939年、山口県に生まれる。中学時代に『漫画少年』に投稿。魚網工場で働くかたわら、手塚治虫の紹介で『少女クラブ』に投稿を始め、同誌掲載の「赤っ毛ポニー」でデビュー。同誌に「銀の花びら」(緑川圭子/小説家佐伯千秋による原作)とオリジナル作「星のたてごと」を経て、『マーガレット』掲載の「白いトロイカ」でストーリー少女漫画を極める。その後、『セブンティーン』連載の「ファイヤー」で第15回小学館漫画賞を受賞。
当サイトの所蔵情報
『マーガレット』:「白いトロイカ」連載時のものを35冊中26冊所蔵しております。(2026年9月現在)その他初期作:1957年『少女クラブ夏の増刊号』掲載の「光の中の少女」、『少女クラブ』1958年6月号付録収録の「ミサにあげるもの」及び『少女クラブ』1960年新年特大号掲載の「星のたてごと」新連載回などの所蔵があります。

【昭和レトロ】1960年代の少女たちが熱狂した『りぼんカラーシリーズ』の魅力
『りぼんカラーシリーズ』No.33「奇跡の人」水野英子
『りぼん』1965年(昭和40年)1月号付録 集英社
「多くの人にすぐれた漫画を読んでいただきたい」――。そんな編集部の温かい願いのもと、集英社から発行された『りぼん』の別冊付録『りぼんカラーシリーズ』。1960年代の少女たちを夢中にさせた、愛と感動の物語が詰まった名作です。
東和映画の感動的な世界を元に描き下ろされた本作。作中では、水野英子の代名詞とも言えるダイナミックで洗練された画風が遺憾なく発揮され、物語をよりドラマチックに引き立てています。昭和の少女漫画史に燦然と輝く、付録の枠を超えた名作です。

◆ 表紙裏の構成
読者に向けた「編集部からの約束文」と「編集部による心のこもった作品紹介」が定型化され、毎号掲載されていました。
◆裏表紙の特徴と『別冊りぼん』の案内
裏表紙は表紙と一体化したデザインが定番でしたが、この号は過去の人気作を2作品収録した『別冊りぼん』の広告になっています。「もう一度読みたい」という読者の熱い要望に応え、シリーズNo.1「ふたりの花物語(竹本みつる)」とNo.5「ローマの休日(水野英子)」を収録。オリジナルより一回り大きいA5判の仕様でした。

【資料に関する注記および謝辞】
『りぼん』1965年(昭和40年)1月号別冊付録 集英社発行
※本ページに掲載している画像および作品情報は、運営者が所蔵する当時の現物雑誌より引用・複写したものです。
※掲載作品の著作権は、著作者および発行元である株式会社集英社に帰属します。

紹介した水野英子はもとより、日本の漫画史に不滅の足跡を遺された巨匠たちに敬意を表します。
戦後日本の児童文化・漫画文化の礎を築き、今なお色褪せない感動を私たちに与え続けてくださる偉大な漫画家の方々と、当時の熱量をそのままに素晴らしい雑誌を世に送り出された出版元に、深く敬意と感謝の意を表します。

各漫画家のプロフィールは、当方が所蔵する当時の雑誌情報、および株式会社小学館発行『現代漫画博物館1945-2005』を参考資料にして、独自に内容を再構成して掲載しています。